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「師塩」×食の達人

第一回  銀座 かわむら

東京・銀座のステーキの名店「かわむら」の指定席は、わずか8席。
幸運にもこの卓に座った人たちには、お土産に「師塩」の小袋が渡される。
「なにもないことは、すごいこと」と評する河村さんの世界をのぞいてください。







瑞々しい天然水のような幻のステーキ
この扉の向こうに、未体験ゾーンが待っている・・・。
「かわむら」のすごさは、食材への卓越した審美眼もさることながら、 そこで出されるすべてのものに共通する、雑味のなさ。 ここでの主役はヒレステーキだが、お客様がリクエストすれば、ハンバーグでも ビーフストロガノフでも、牛丼だってつくってくれる。

そんな河村さんのチャーミングな究極の接客も魅力だが、 そのどれを食しても実にすがすがしい味わい。 本当に美味しいからだの奥が鳴るような水・・・のようなステーキであり、 肉料理であり、コンソメであり、鮑なのだ。 旨みがガツンと押し出されるステーキではなく、喉元をするりと落ちていく 繊細な味わいをもった水のようなステーキ。 ふるふるとした果実のような柔らかさと香り、切ない甘さが喉元に残り。。。
つまりはいくらでも食べられてしまう。 そしてそんなに食しても、翌日決してもたれることはない。 からだは正直。軽やかで爽やかだ。 命を食すということは、本来そういうことかもしれない。

「かわむら」の指定席はわずか7〜8席。
一夜の宴の卓につけるのはわずかな人員だが、 幸運なことにその席に座ったものには、ささやかな土産が渡される。 もっとも持ち帰りのステーキサンドやハンバーグサンドを手にするひとたちがほとんどだから、たいがいの手には大きな紙袋が握られているのだけれど。 そこには、河村氏セレクトの旨いコーヒーとひとにぎりの塩が添えられている。 特別なサイズのお土産用「師塩」である。

余分な雑味がなにもない と評される師塩
河村さんに師塩の魅力について伺った。
「この塩の凄さは “なにもないこと” なんです」 つまり、余計な甘さがない、必要以上にしょっぱくない。 旨い塩だろう、とふんぞりかえって主張することがない。 つまり、大切なものを邪魔しない、ということ。 河村さんのところで感じる「雑味のなさ」とも共通する。

「ボクの料理は余分なことをしない。 そのぎりぎりのところで素材の持つ繊細な持ち味をどれだけ引き出していけるか、という ことなので、それを邪魔するものはいらない。 だけど、実は “なにもないこと” ってすごいことなんです。 これに気づく人は極めて少ない。 この塩のすごさを本当にわかる人って、少ないんじゃないかな」 河村さんの調味料は、わずかな塩、そしてほんの少しの隠し醤油。 この潔いくらいまでのシンプルさに極意が見え隠れする。

師塩で仕込んだ味噌や漬物や干物が、ただ塩だけのことで 実にふくよかな旨みを持つ食材になるのも、大豆や野菜や魚が本来持っている 繊細さが伝わりやすくなるからかもしれない。 だからこそ、もっと新鮮で生命力のある野菜や魚を手にしたくなる。 食材が喜ぶ塩であり、命が喜ぶ塩・・・。

話しは変わるが、河村さんは無垢な表情を宿した柔和な手を持っている。 この手こそが、繊細さを壊すことなく静謐でいてどこまでも印象的なまでに 素材の力を手繰り寄せられる、類まれなる手であることも加えておきたい。

【お店のデータ】
銀座 かわむら
中央区銀座7-3-16  Tel:03-3289-8222  18:00〜21:30(L.O.) *予約は夏場まで埋まっています

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